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広島アグリフードサービス(株)

老舗駅弁企業グループが取り組む6次産業化事業

出資先のプロフィール

広島アグリフードサービス株式会社

広島アグリフードサービス(株)は明治34年創業の広島駅弁当(株)のグループ企業として設立されました。広島駅弁当グループは「これからの農業」と「食の安全・安心」を確保する為に「食の一貫体制=食の生産から販売までの一括管理:From farm to table」の実現に向け6次産業化に取り組んでいます。その一つとして同社は地域の小中学校の給食製造・供給、および高齢者施設などへの配食サービス事業に取り組んでいます。

A-FIVEから出資を受けるまでの経緯1

創業当時から続く地域貢献の精神

全国で初めて「民設・民営※」による学校給食事業を展開し、注目を集める広島アグリフードサービス(株)。親会社である広島駅弁当(株)は、「食を通じて地域社会の課題を解決し、地域社会に必要とされ貢献する」ことを理念に掲げる、創業約120年の歴史を持つ会社です。かつて第二次世界大戦中には、原爆投下により社屋・工場を焼失するも、仮工場で営業を続け、新社屋は原爆投下後の広島市での建築許可第一号として建てられたという記録からも、食による地域貢献の姿勢を貫き続けている会社であることが伺えます。

現在、広島駅弁当(株)のグループ傘下には、この記事の主役である広島アグリフードサービス(株)のほか、食に関わるさまざまな業態の会社が名を連ねています。中でも、平成18年に第3セクターとして発足した安芸高田アグリフーズ(株)の事業展開は、広島アグリフードサービス(株)設立の礎となりました。当時の状況からたどってみることにしましょう。

※公共的な施設に関して、設置・運営をともに民間で行う方式。

広島市郊外の高台に建つ広島アグリフードサービスの社屋。搬入・搬出のためのスぺースも十分に確保されている

搬入・搬出口は、資材・食材の動線により明確に分けられている。ポップな色彩と番号で区分けがひと目でわかる

A-FIVEから出資を受けるまでの経緯2

事業の高度化に取り組み、第3セクターを黒字化

鉄道の高速化やコンビニエンスストアの台頭などから駅弁事業が急速に縮小し、会社が危機的な状況を迎える中、平成11年に広島駅弁当(株)の社長に就任した中島和雄氏は、日々食べる分野(事業所、スーパー、量販店等)への弁当販売を増やすことにより、駅弁事業の売上減少をカバーし経営を持ちこたえたことで、「工場の稼働率さえ上げれば、会社はたちゆく」ことを実感したといいます。

平成18年には、農水省の農業経営構造対策事業として、精米から炊飯、野菜加工販売、総菜加工販売まで行うために、安芸高田市、広島北部農業協同組合、広島駅弁当(株)の3者で、安芸高田アグリフーズ(株)を設立しました。 当時まだ珍しかったこの「6次産業化事業」を軌道に乗せるため、中島社長は「From farm to table」の方針を掲げ、事業の高度化に意欲的に取り組んでいきました。

まず、生産地の近くに工場を建設することで、トレーサビリティが確保された食材を、新鮮な状態で入手できる体制を構築するために、HACCP対応の衛生管理の行き届いたセントラルキッチンをつくり、そこで大量の料理を効率的に提供する仕組みを整えました。加えて調理については、電力会社からノウハウを得て、以前は職人の経験と勘に頼っていたレシピや調理法をデジタル化してTT管理(温度×時間の管理)できる最新の電磁調理器を導入。これにより調理の平準化、安定化を実現しました。これらの試みによって、材料費、人件費などのコストを抑え、常においしい食を提供することが可能となったのです。

安芸高田アグリフーズ(株)が受託する事業所給食は年々数を伸ばし、ついに広島市でトップシェアを誇るまでに成長した今では、全国でも珍しい黒字経営の第3セクターとなっています。

加熱調理機は、釜、連続フライヤー(揚げ物)、連続焼き物機などが揃い、1万2000食を2時間以内で調理できる

調理された給食は、各学校、各クラスへ運ぶための専用コンテナに仕分けられ、順番に発送されていく

今後の展開

6次化が可能にする、食による幅広い地域貢献

平成27年、安芸高田アグリフーズ(株)で中島社長が確立した仕組みを、学校給食事業へと展開させるときがやってきます。広島市が全国で初めて「民設・民営方式」による学校給食委託事業の公募を行い、中島社長が10年以上にわたりあたためてきた構想が採択されることになったのです。

日本で初めての「民設・民営」による学校給食事業の発足にあたり、中島社長は2つのことを進めます。

まずは、給食の地産地消率を高めるため、広島県内の18の農業者と契約を結ぶとともに、自らも農業法人広島アグリファーム(株)を設立し、農業分野に参入。給食の場合、献立から必要な野菜の種類と量を計算できるため、農業者に安全安心で良質な食材を1年を通じて計画的に生産し、納入してもらう仕組みを構築しました。

続いて、平成28年9月に広島アグリフードサービス(株)を設立し、「六次産業化・地産地消法」に基づき農林水産大臣の計画認定を受けるとともに、広島銀行を通じて「ひろしま農林漁業成長支援ファンド」から50%の出資を受けました。この出資の意義について中島社長は「総合化事業計画の認定を受け、ファンド出資を受けると補助金の利用がし易くなることも確かに出資をお願いした理由のひとつでした。しかし、もっと大きな目的は、自分たちが取組む6次産業化事業を国が出資する官民ファンドが評価したと内外に対して明確にできるということでした」と説明します。

そして、会社発足から約半年後の平成29年4月には、いよいよ業界屈指の規模を誇る新工場が稼働を開始。作業動線や食材動線に基づき明確に作業エリアが分けられ、衛生管理が徹底されたこの最新の調理施設で、五日市地区の小・中学校に向けて1日約1万2000食の給食が調理されています。さらに、民設民営ならではの付帯事業(学校給食以外の事業)として、地域の高齢者施設への食事供給サービスにも力が注がれ、広島大学医学部と連携して研究開発した、地域の高齢者の健康寿命の延伸、未病の改善に貢献する食事もここでつくられています。

広島アグリフードサービス(株)のこのような試みは全国的に注目を集め、各地の行政関係者らによる視察が後を絶ちません。しかし、中島社長の意識は「地域」から離れることはありません。
「わがグループの理念は『食を通じて地域社会の課題を解決する』ことにありますから。あくまでも地域に目を向け、地域におけるオンリーワンの存在として、貢献を続けることが私たちの本分なのです。」

創業当時からのぶれない意志が、最新のスキームの中でも貫かれています。

衛生試験室を自社内に備える給食センターはおそらく日本で唯一。月に一度、専門家を招き自主的に検査を実施

契約農家の協力を得ながら、子どもたちの食育にも力を注ぐ。壁には児童による「研究結果報告」が掲示されている

施設内を案内してくださった同社取締役の渡邉伸明さん「できる限り地域産の新鮮な野菜を使うようにしています」

給食の量は、規定に則り学年ごとに増減させる。献立をデータ化し、量を自動計算する独自の仕組みを構築している

VOICE

広島アグリフードサービス株式会社
代表取締役 中島 和雄 氏
出資先の声

A-FIVEの出資で得た事業への信頼

サブファンドからの出資をお願いする折りには、私自身も何度かA-FIVEの東京本社へ伺い、この事業の採算性や将来性についてご説明申しあげました。当初「給食で採算がとれるのか」という問いも受けましたが、私たちが10年以上かけて取り組んできた経験と実績から導き出したスキームには自信がありましたので、結果的にはご納得いただいて出資いただくことができ、たいへん感謝しています。
新規事業ということで、当然のことながら、進めるうえでそれなりの抵抗に合うことも少なくありませんでした。その意味でも、国が出資するファンドの資金を使わせていただくことは、公的資金が応援している事業なのだというお墨付きになり、行政の方を始め、地域の皆さんのご理解を得るうえで大いに助かりました。また、私たちが6次化産業を行う事業体であるということをアピールすることにもつながったと思います。

これから私たちは、食産業の高度化にあくなき挑戦を続けながら、一方で古きよき日本の精神である駅弁文化を守り続け、グループ全体で「地域における食のファーストコールカンパニー」を目指して、地域への貢献を続けていきます。