A-FIVE

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㈱銀しゃり

炊飯専門業者による農業競争力強化支援法を活用した新工場建設

出資先のプロフィール

株式会社銀しゃり

㈱銀しゃりは昭和46年に創業した、主に旅館・ホテル向けに炊飯米を提供する炊飯専門事業であり、専門事業者としては最大手となる。従来は少品種大量生産にて炊飯を提供していたが、近年は寿司飯、おにぎり等の炊飯加工品の需要が増大しており、多品種少量生産ラインの必要性と、BCP計画で想定される自然災害時のバックアップ体制の確立より、相模原工場の新設をした。

A-FIVEから出資を受けるまでの経緯

顧客ニーズにかなう多品種少量生産体制を求めて

東京都千代田区に本社を置く㈱銀しゃりは、昭和46年に創業された炊飯の専門業者です。「旨い米を炊く!」という経営理念のもと「炊きの技術」を磨き、その高い品質からホテルや旅館、老舗料亭などの味に厳しい顧客に選ばれ続けている、炊飯専業の最大手です。

商品としては、「白御飯」3種のほか、「寿司御飯」3種、ターメリックライスなどの「素材御飯」4種、近年のヘルシー志向で人気を集める「雑穀御飯」4種、そして鶏五目御飯などの「季節の変わり御飯」、しゃり玉や太巻き、おにぎりなどの「加工品」、「赤飯おこわ」の全7種類を揃えています。

これまでは、平成21年に建設された府中工場でこれらの商品の生産に対応してきましたが、近年、クライアントからのニーズが多様化するなか、府中工場の少品種大量生産体制では効率的な対応が難しくなり、新たな工場を建設することになりました。

炊飯には大量の水が必要とされることから十分な水源を確保できる場所であること、かつBCP(事業継続計画)の観点から地盤が強固で、かつ輸送面から高速道のインターチェンジにも近いこと、これらの条件を満たす土地が相模原に見つかり、新工場の建設地に決まりました。

工場建設にかかる資金については、地域金融機関からの融資で調達の目途がついていましたが、その後クライアントからの勧めもあり、農業競争力強化支援法に基づく事業再編計画の認定を申請。平成30年10月に認定を受け、平成31年3月にA-FIVEから1億9千万円の出資を受けることとなりました。

神奈川県相模原市に設立された新工場。多品種少量生産に対応した設計で、顧客ニーズに柔軟に対応する。

「炊飯マイスター」がプロの技術で炊きあげるご飯。ホテルや料亭など味に厳しい顧客からの信頼も厚い。

出資後の効果

高い品質を保ちつつ、全自動化による省人化を実現

新設された相模原工場は、前述のとおり「多品種少量生産」をコンセプトに設計されています。原料となる米は、最大で14品種までストックできる仕組みを整え、米を炊く過程(洗米→浸漬→配米・添加→炊飯→蒸らし・ほぐし→充填・梱包まで)の全工程を自動化し、省人化を実現しました。

もちろん、この全自動化により味が落ちることは許されません。火加減や水加減などの設定には、銀しゃりに長く勤務する「炊飯マイスター」と呼ばれる職人たちの知識・技術が取り入れられ、米の配合や気温・湿度などの変化に対応するプログラムをなんと1000通り以上も設定。味に厳しい顧客の多様なニーズに安定的に応える、まさに銀しゃりならではの仕組みを構築しました。

加えて、加工品についても、半自動化機械を導入し量産体制を整えました。炊飯専門メーカーならではの、添加物を加えない(酢のような安定剤のみ少量添加)、一粒一粒がしっかりしていながらふわっとほぐれる評判のおにぎりは、今後銀しゃりの主力商品として成長することが期待されます。

さらに、新工場には、15坪ほどの厨房設備も整えました。これは、百貨店などの催事に出店する地方の企業との協働を計画してのもの。地方を拠点とする人気仕出し店などからレシピを約定に則って譲り受け、銀しゃりが代わって生産販売する事業も計画しています。社長の斎藤壽保氏が説明します。

「百貨店で行われる物産展などの催事は、顧客層の高齢化により年々売り上げが縮小傾向にあり、地方の企業さんにとっては、参加のための交通費や宿泊費が売り上げを逼迫する状況です。そこで、我々が何かお手伝いできることはないかと考え、新工場に厨房設備を設置しました。銀しゃりのご飯の価値を認めてくださり、おいしい食の価値を共有できる人たちと、助け合いながら、互いの価値を高める試みを行っていければと考えています。」

この「助け合い」の精神こそが、銀しゃりを象徴する考え方の柱なのだと言います。

「私はまだ社長に就いて5年目ですが、この会社には、以前から助け合いの精神が根づいています。現在も19歳から82歳までのスタッフが、旨い飯を炊くために自然な形で助け合いながら工場を支えています。この精神を銀しゃり魂と名づけ、社内はもちろん、取引先やお客さまとの関係においても忘れないよう皆で心掛けているのです。」(斎藤社長)

納米タンク設備。1タンクに1品種が収められ、最大で14品種をストックすることができる。

炊飯製造ライン。60個ある釜それぞれで浸漬・炊飯し、その後の蒸らし、ほぐしまで全自動で行われる。

今後の展開

A-FIVEからの出資で得た大きな信用を生かして

新工場に伴う事業再編計画の中で、もうひとつ、斎藤社長が積極的にはたらきかけていることがあります。それは、米の生産農家との直接契約による取引き。その実現にA-FIVEによる出資がたいへん大きな効果をあげているといいます。

「A-FIVEから出資を受けたことが我々の大きな信用となり、契約が実現に向けて進みつつあります。我々にとって、生産者と直接やりとりして、米の詳細な情報や作り手の想いを得られることは大きな意味があります。そして、我々との取引きが、生産者にとって少しでも安心して米づくりをできる環境づくりにつながれば、と思っています」と斎藤社長。

今後は、おにぎりなどの加工品に銀しゃりロゴのシールを貼り、そこに米の生産者も明示することで、加工品を気に入った消費者がその米を買えるような仕組みの構築にも取り組みたいと意気込みを語ります。

「旨い米を炊く!」という理念、炊飯事業を通じて「互いに助け合う」という銀しゃり魂が、技術の粋を集めた新工場を得て、さらに事業の多角化を実現しながら継承されていきます。

炊飯ラインの操作パネル。顧客の要望に合わせて、水加減、火加減など1000を超える設定から最適なものを選ぶ。

半自動化されたおにぎり製造ライン。機械が計って成型したご飯に、人の手で具を入れ、のりが巻かれる。

新工場では、おにぎりなど加工品の生産体制も拡充された。今後、主力商品としての成長が期待される。

ほおばるとご飯の粒がふわっとほぐれる「ごはん屋の本気おにぎり」の完成。このあと各地へと配送される。

VOICE

株式会社銀しゃり
代表取締役 斎藤 壽保 氏
出資先の声

A-FIVEの出資が与えてくれた信用力

これまでも農家さんとの直接取引きの交渉をしてきましたが、率直に言ってまったく相手にされない期間が続いていました。我々に信用がなかったんですね。それが、農林水産省から事業再編計画の認定を受け、A-FIVEからの出資を受けたことで、状況ががらりと変わりました。正直、これほどまでの効果があるとは事前に予想していませんでしたので、今は出資を受けて本当によかったと感謝しています。

今後は、消費者向けに、炊いたご飯の食べ比べをする機会や、日本全国に存在する希少米を生産者と共に食べる機会などの創出を手掛け、ごはんそのものの価値向上に向けた活動にも力を入れていきたいと思っています。

また、健康に関する意識が高まる中、我々は神奈川県より「未病関連産業」の認定を受け、ごはんを通じた健康づくりや、スポーツをされる皆さんへの副食提供など、日本の主食としてのごはんの効用と美味しさを追究することにも取り組んでいます。旨い米を炊く技術を持った我々だからこそできる、ごはんのおいしさの伝承、若い世代のお米離れ対策などについても、新工場を拠点として積極的に展開していきたいと考えています。