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やさいバス(株)

農業競争力強化支援法・事業再編計画認定出資第1号

出資先のプロフィール

「やさいバス」株式会社

やさいバス(株)は、静岡県牧之原市を拠点に青果卸売業を営む(株)エムスクエア・ラボのグループ企業。保冷車で巡回し生産者からの集荷と消費者への配送・販売を同時に実施する共同配送事業を展開する会社として、2017年3月に設立された。さらに、2018年5月には(株)エムスクエア・ラボから青果卸売事業を譲り受け、クラウド上で受発注を速やかに行えるシステムを導入し、より効率的な物流網の構築を目指す。長野県松本市を始め、静岡以外への展開も本格化しており、農産物に加え、海産物の物流を行う「さかなバス」についても静岡県の事業として実証実験が開始されている。

A-FIVEから出資を受けるまでの経緯

地産地消の新物流革命「やさいバス」

静岡県牧之原市に本社を置く(株)エムスクエア・ラボは、単純な青果卸売ではなく、つくる人の「思いや拘り」をつかう人・たべる人に正しく伝えることにより、従来の取引(“カネ”という単一価値)から取り組み(3者の信頼関係)に変換する「べジプロバイダー」事業を展開する中で、物流コストを大幅に下げる共同配送を行う企業としてやさいバス(株)を2017年に3月に設立しました。

農産物が乗ったり降りたりするバスのような当事業の特徴は、保冷車(バス)が巡回する直径約40㎞の範囲に、集配拠点(停留所)を7〜8か所設け、そこで生産者からの出荷と購入者への配送・販売を同時に実現するという共同物流網の構築にあります。生産者・購入者の双方にラストワンマイルの工程は引き受けてもらい、身近な「停留所」を共同利用してもらう仕組みにより、中・小ロットの取引においても物流コストを宅配料金の約半分に下げることに成功しました。

「やさいバス」の保冷車。40km圏内を1ルートとして走行

各停留所で集荷作業と配送作業を同時に行う

出資に伴う認定

「事業再編計画」の認定を受け、A-FIVEより資金調達

2018年、やさいバス(株)は、事業再編を計画します。その内容は、親会社の(株)エムスクエア・ラボが行っていた前述の青果卸売事業「ベジプロバイダー」を譲り受け、インターネット上で生産者・購入者の受発注をスムーズに行い、その結果を物流に結び付けるITシステムを開発することにより、商流と物流を一気通貫で行う新たな流通網を構築するというもの。これによりさらなる物流の低コスト化と事業エリアの拡大の実現が狙いです。加えて、集配ポイントである「停留所」に小規模な加工販売店を新設し、地域の農産物を利用した新たな加工食品の開発・販売を行うBtoB事業も計画に盛り込みました。

この事業再編計画に伴い自己資本の増強を行うため、やさいバス(株)は、「農業競争力強化支援法※」における「事業再編計画認定」の申請を行い、2018年4月に農林水産大臣から認定され、A-FIVEからの出資と増資に係る登録免許税の軽減の2つの支援措置を受けることとなりました。
※2017年8月から施行され、農業が持続的発展を図るために必要な「良質かつ低廉な農業資材の供給」や「農産物流通等の合理化」のための事業再編・参入を国が支援するというもので、その支援措置の一つとしてA-FIVEからの出資がある。

「やさいバス」本社がある静岡県牧之原市。茶畑が広がる

生産者と談笑する加藤社長(左)。丁寧な情報収集が信条

「和プリカ」の名で出荷される牧之原市産のパプリカ

安定供給しやすいビニールハウス栽培を行う農家が多い。

今後の展開

地産地消の新物流システム「やさいバス」を、日本各地へ、そして世界へ

以降、やさいバス(株)の事業は順調に推移しています。成功の要因は、もともと「ベジプロバイダー」立ち上げ時から重視していた生産者の現状やニーズを丁寧にくみ上げ、データベース化して購入者に伝達するという真摯な姿勢に加え、新システムの開発により、受発注を生産者・購入者間でダイレクトに行えるようになり、これに伴い双方が求めていたダイレクトな「コミュニケーション」が可能になったことが挙げられます。生産者は生産物の特徴と収穫の時期と数量を、購入者は入手したい野菜・果実とその量、時期を直接伝え合うことができ、成立した売買は自動的に「やさいバス」の物流にひもづけられるという徹底した効率化が、生産者、購入者それぞれの利益向上につながり、現在は静岡県内の約100軒の生産者と約170軒の購買者が登録して活用するまでに至っています。

新鮮な地元の農産物を地元に供給するための、低コストで持続可能な物流の仕組み「やさいバス」は、静岡以外の地での展開にも乗り出しています。2019年9月には長野県松本地域(松本市、塩尻市、安曇野市、朝日村、山形村)で、月曜日から土曜日までの毎日決まったルートを運行する実証実験が始まりました。他県からも複数の導入に関する打診を受けており、さらに、野菜だけでなく、魚介類についても野菜と同様の仕組みを活用した「さかなバス」の実証実験が、静岡県と松本市の間で始まっています。

「食べものは、命を支えているもの。食べもののプラットフォームを作ると、コミュニティがもっと強く繋がっていくと考えています。東京に一旦品物を全部集めるという従来のハブ&スポーク方式に代わって、『やさいバス』という小さな範囲で循環させるこの持続可能な仕組みを、日本中に、そして世界に広げていきたいですね」と加藤社長は今後の目標を見据えます。

浜松市中心部にある直営店「Glocal Greens」はバス停にもなっている

松坂屋静岡店に新設した「やさいバス」朝採れ野菜コーナー

VOICE

やさいバス株式会社
代表取締役
加藤 百合子 氏
出資先の声

出資後のA-FIVEによる手厚い支援

「やさいバス」の物流の仕組みは、協議会を組織しオープンイノベーションで4年ほどかけてつくりあげていきました。当初は複数の物流会社が参加していたのですが、最終的には地元の老舗物流会社である鈴与(株)と私たち(株)エムスクエア・ラボとで創業することになりました。その後、事業再編計画に伴い増資を行う際、6次化事業体でなくても「農業競争力強化支援法」に基づき事業再編計画認定を受ければ、A-FIVEからの出資を受けられることを知っていましたので、迷いなく申請を行い、無事に認定による出資第一号となることができました。出資はたいへんスムーズに実現し、その後もA-FIVEのご担当者には社外取締役に入っていただき、やさいバス(株)の東京営業担当という名刺を持っていただいて当社のためにいろいろと支援していただいています。長野の「やさいバス」で物流を担当してくれる会社もA-FIVEを通じて知り合うことができました。

今後は、この「やさいバス」の仕組みをさらに拡充させ、各停留所での地域の農産物の加工・販売や、ラストワンマイルを自動運転でつなぐ仕組み、地域コミュニティの中に生まれる貨幣交換できない価値を、たとえば「信用ポイント」や「サンクストークン」のような形で取り込む仕組みの構築などにもチャレンジしていきたいと思っています。A-FIVEにも引き続きご協力いただけることを期待しています。